SDGs14の救世主! | バイオプラスチックの最新の取り組みをご紹介

こんにちは!SIFジャーナルです。

SIFジャーナルではSDGsに関する記事がたくさんありますが、
中でも最も皆さんに注目いただいているのがSDGs目標14についての取り組みです。

SDGs14の目標は「海の豊かさを守ろう」です。

魚など海洋生物の獲り過ぎ、プラスチックゴミなどによる海洋汚染など
人間の生活が様々な形で海の豊かさに問題を引き起こしています。

しかし同時に、このような状況を何とかしようと、世界では様々な新しい取り組みが生まれています。

皆さんは今大注目のSDGs目標14の取り組み事例を知りたいですか?

今回は皆さんに、SDGs目標14の取り組みで世界から大注目の最新事例をご紹介させて頂きます!

そして今回は特別に、世界をまたにかけSDGs14に取り組む、ある方に取材してきました!

後半ではこの取り組みをさらに広げて、
私たちが関わるフィジーへの展開までアイデアを考えてみたのでご紹介します。

ぜひ皆さんもこの取り組みを自分の身近なことにいかせないか、一緒に考えてみてください!

目次

SDGs14のキーマンが今最も力を入れる取り組みとは!?

屋外, 男, 人, 凧 が含まれている画像

自動的に生成された説明

SDGs14に取り組むネイチャリスト

今回取材に応じてくださったのは、株式会社バイオマスレジンホールディングスに所属する

Maki Leon 出口さんです!

Makiさんは現在、白馬を拠点としてサキュラーエコノミーや

脱 CO2 運動などに繋がる様々なイベントやサステイナブルな企画に協力しています。

そして2020 年から同社のサスティナブルネイチャリストとして活動を開始したそうです。

Makiさんの具体的な取り組みの内容に入る前に、まずはSDGs14の解決すべき課題をおさらいしましょう。

SDGs14の解決すべき課題と取り組み

そもそもなぜSDGs14に取り組まなければならないかと言うと、海の環境が悪化する一方では持続的な開発が不可能になると考えられているからです。

海の生態系も我々の生活も、さらには陸の生態系まで、全ては命の源である海が健康でなければ持続できません。

だからこそ、1人1人がSDGs14に今こそ本気で取り組むことが求められています。

バイオマスプラスチックで取り組むSDGs14

よくある取り組み事例のひとつが、プラスチックの使用量を減らすことです。

プラスチック製のスプーンやフォークを使わないとか、プラスチックを原料とする袋の使用を控えるなどの取り組みです。

ただ、私たちの生活習慣に根づいたプラスチックを減らしていくことは容易ではありません。

Makiさん:「安くてすごく便利で自由自在。他の素材にはないそんなプラスチックが本当にありとあらゆる僕たちの生活を埋め尽くしてしまったんです」

そこで、海で問題になっている海洋プラスチックの削減などを目的にMakiさんが属するバイオマスレジンホールディングスが取り組むのが、

従来のプラスチックを代替する「バイオマスプラスチック」です。

バイオマスプラスチックとは、生物由来の再生可能な資源資源を原料にしたプラスチックのことです。

つまり太陽と水と二酸化炭素さえあればつくられる自然由来のものを原料に取り入れたものです。

似た言葉に生分解性プラスチックがありますが、こちらは使用した後に自然に還るプラスチックのことを指します。

バイオマス素材でかつ生分解性もありますし、どちらかという場合もあります。

このバイオマスプラスチックこそが、SDGs14の課題に非常に効果的です。

プラスチックの習慣を無くすのではなく、プラスチックに代わるものに置き換えていく発想。

そして、Makiさんが今最も広めようとするのが、なんと『お米』を使ったバイオマスプラスチックです!!

お米が世界を救う!SDGs14の救世主

お米がプラスチック?と毎日食べるお米を想像して思う方も多いかも知れません。私たちも初めは想像できませんでしたが、Makiさんのお話を聞いてみましょう。

SDGsに貢献する新しいプラスチックの形

Makiさん曰く、バイオマスレジンホールディングスの取り組みの中で着目しているのは食用に適さないお米だそうです。

例えば古くなってしまったお米や、欠けてしまっていたりして市場では価値が低くなったお米です。

そのお米が最大で約70%使われて作られるのがライスレジンという、Makiさんが関わるバイオマスレジンホールディングスの事業です。

お米はもともと粘り気があったり、冷めるとカチカチになる特性があります。

そのお米の特性、そして日本ならではの安定した生産と供給に目をつけ「ライスレジン」というバイオマスプラスチックが生まれたそうです。

まさに日本にうってつけの取り組みですね!

パラダイムシフトを起こす取り組み

バイオマスレジンホールディングスが取り組んでいるのはただの環境保全活動ではありません。

バイオマスレジンホールディングスが狙っているのは社会の”パラダイムシフト”なんです。

パラダイムシフトとは、これまで当然とされていた社会全体の価値観などが革命的に変化することです。

ライスレジンは見た目にはほとんど既存のプラスチックと変わりません。

価格は若干高いくらいですが、それでもこれまでの環境配慮製品に比べれば手の届く範囲です。

Makiさん:消費者はこれまでの大量生産されたものを大量消費するマインドから、環境に優しい製品を自分たちの生活に取り入れる「パラダイムシフト」を起こさなきゃいけないと思うんです。

Makiさんたちの取り組みが、これから人々の生活とマインドを変え、より持続的な世の中へ舵を切れていければとても素晴らしいですね!

SDGsに貢献する新しいプラスチック商品をどのように広めていくのか

Makiさん:まだまだ発展途上ではありますが、現状を打開するという意味では圧倒的なインパクトを持っていると感じています。

五感で楽しめるSDGsの取り組み

Makiさんが今回ご紹介してくれた商品は、
お米が使われたお弁当箱や、カラフルで可愛らしい赤ちゃんのおもちゃなど。

親御さんとしては、口に入るものがどんな素材で作られているかは気になりますよね。

見た目も可愛く、既存のプラスチックと何ら変わりません。

また、ビニール袋をご紹介頂いた際には、
本当にほんのりとお米の香りがするビニール袋なんだと教えて頂きました!

お米の香りがするビニール袋、使うときにもSDGsを意識することができますね。

ちなみに、おもちゃのお米使用率は51%、ビニール袋は25%だそうです。

改善の余地はありますが、その分これからが楽しみです。

バイオマスプラスチックを広めるためには

Makiさん:政府の目標は200万トン*。その目標に対して海外から入ってきているのが5万トン。僕たちは2025年までに国内で年間10万トン生産することを目指しています。

やっぱり今の市場の原理は1円でも安い物を求めます。

いくら最終消費財メーカーに環境に良い材料があると営業に行っても

「これはすごく環境に優しんです。でもコストは通常の倍するんです」

では誰も見向きもしない。

だからこそ、Makiさんはパブリックリレーションと環境教育を特に大切にしているんだとか。

Makiさん:いま僕たちバイオマスレジンホールディングスが取り組んでいるのは、一般消費者に直接、僕たちの取り組みの素晴らしさを伝えることです。今皆さんが使っている石油製品を、プラの袋をエコバッグに、ペットボトルをマイボトルに、新しい時代に向けてチェンジして行かなきゃいけない。新しい時代って素晴らしいわけじゃなくて、もう環境が崩壊してるからチェンジしなきゃいけない。

いまバイオマスレジンホールディングスの事業が着工しているのが、福島の浪江町という場所にある大きな土地です。

3.11の震災で戻ってきている人はまだ少ないですし、10年たった今でも、農業の再開は1割未満で、まだ復興道半ばです。

田んぼがいっぱいありますが、育てているのは食べる目的ではなく新規市場開拓米として育てる資源米です。

その浪江町で、昨年から3ヘクタールの大きな田んぼで生産をはじめたそうです。

今はまだファーストモデルですが、このように広大な土地を活用していけば、その大きな田んぼの隣には工場も作れます。

輸送の移動などもなくすごく効率的に、もっとライスレジンが増える取り組み事例になるだろうとMakiさんたちは考えています。

Makiさん:バイオマスレジンホールディングスがお米に特化したことの理由の一つが「やはり北海道から沖縄まで稲作日本人誰でもできるしどこでもできること」ここはやっぱり一番大きなメリットだった。それで実は日本だけじゃなく、東南アジアの人皆お米食べるよねってことで、今年は、ベトナムで工場が稼働します。他にもタイやアフリカにも計画があり、これからどんどん拡大していくはずです。

*環境省、経済産業省、農林水産省、文部科学省と合同で作成された「プラスチック資源循環戦略」では2030年までに、バイオマスプラスチックを約200万トン導入を目指すことが掲げられている

ライスレジンの取り組みがSDGs14に与えるインパクト

ここからは具体的に、世の中にはプラスチックのどのような現状があり、ライスレジンによってどのような効果が期待できるか考えていきましょう。

SDGs14の深刻な状況

具体的にライスレジンはどのような課題に効果があるのでしょうか。

2050年までには、海のプラスチックごみの量が魚の量を重量ベースで上回るとも予測されています。

海に流れるプラスチックゴミの量は年間で800万トンを超えるとも言われ、
このままでは海がプラスチックで埋め尽くされてしまいます。

海洋プラスチックは様々な影響を及ぼします。

例えば、海の生態系への影響です。

海の動物たちが誤ってプラスチックを食べてしまえば、呼吸困難になったり、消化されることなく体に残り命を落とします。

プラスチックが与える環境への影響については、こちらの記事もご覧ください。

実態から具体的な取り組み事例まで!| SDGs目標14 海の豊かさを守ろう | 幸せの国フィジーがプラスチック撲滅で世界のリーダーへ

SDGs14の目標は人体の健康にも重要

また、人体にも影響があります。

海のプラスチックは目に見えるものばかりではありません。

マイクロプラスチックと呼ばれる、5ミリ以下の非常に微細なサイズになったものも含まれます。

このマイクロプラスチックを魚が食べ、
その魚を人間が食べれば、人間の体にプラスチックが残り人体に影響がでます。

プラスチック対策がSDGs目標達成には必須

そこで、このライスレジンをはじめとする自然に帰る原料を使用するプラスチックの取り組みが普及すれば、海に残るプラスチックの量も減少していくと考えられます。

私たちの生活に欠かせなくなったプラスチックを完全に使わなくするには相当の年月がかかりますし現実的にはこれほど普及したプラスチックを無くせないところもあります。

そこで、2030年というSDGsの期限に間に合わせるためには、プラスチック製品を自然に帰る製品に代替していくという考え方が必須になると考えられます。

実はSDGs14だけじゃない、ライスレジンのインパクト

もちろんSDGs14に関する海の豊かさにも効果はありますが、Makiさんによると他にも取り組みの効果があるそうです。

ライスレジンの取り組みのSDGs12への貢献

処分されるはずだったお米を使うことから、
“つくる責任つかう責任”にも貢献することができます。

廃棄せざるをえないものを活用し、新たな価値を創造することをアップサイクルと呼びます。

アップサイクルについてはこちらもご覧ください。

【アップサイクルとは?】初心者に分かりやすいエシカル消費やリサイクルとの違い | フィジーでの取り組みの具体例も紹介

ライスレジンの取り組みのSDGs13への貢献

地上の二酸化炭素の増減に影響を与えない「カーボンニュートラル」の性質を持ちます。

コストや成形性は従来のプラスチックと同等でありながら、品質は変わらないプラスチック素材です。

SDGs13 “気候変動に具体的な対策を” についてはこちらの記事のご参考ください。

SDGs|目標13|気候変動に具体的な対策を|トップを狙うフィジーの挑戦

他にも、間接的に関わっているSDGs目標もあり、ライスレジンの取り組みはSDGs目標達成に向けて非常に期待される取り組みとなっています。

Makiさんが考えるバイオマスプラスチックを応用した取り組み

今回Makiさんとお話をする中で、バイオマスプラスチックの取り組みの可能性について色々なお話をすることができました。ここでは少しこれからの展開について考えていきます。

お米以外の原料を使った取り組み事例

Makiさんが現在取り組むのは、お米を原料としたバイオマスプラスチックです。

でも実は、バイオマスプラスチックは私たちの身近にある様々な原料を活用することができます。

例えば、コーヒーの搾りかすや蕎麦殻なども活用することが出来るんだとか!

世の中にはまだまだ流通する前に廃棄されるものがたくさんあります。

自然に作られるものから、私たちが毎日使う製品を作り出す技術が広まれば、遠いと思っていた持続可能な世界に、もっともっと近づくことが出来るかも知れません。

フィジーのSDGsとのコラボレーションの可能性

今回Makiさんにお話を伺う中で、私たちが最も興奮したのがここからです。

私たちが関わるフィジーも、バイオマスプラスチックの原料を豊富に持っていることがわかったからです!

それがサトウキビです。

フィジーでは植民地時代である19世紀から、サトウキビの生産が活発に行われるようになりました。

主な輸出先はアメリカ、そしてヨーロッパがあり、サトウキビ産業はフィジーの経済を支える重要な役割を担っています。

しかしながら、このサトウキビ産業においても様々な問題があります。

例えば、フィジーが受ける気候変動の影響です。

気候変動によりエルニーニョ現象が頻繁に起こり、サイクロンや干ばつなど様々な自然災害が発生し、

生産高が安定しません。

また他国では機械化と大量生産が進むことで価格競争も激しくなり、サトウキビ産業は苦境に立たされています。

そこで、Makiさんが現在取り組んでいるバイオマスプラスチックの技術で、

サトウキビを使った新たたな取り組みを考案し、
フィジー経済にも新たな産業を取り入れてはどうかと考えています。

今回のMakiさんの取材を通じて、
今後の私たちSIF(Social Innovation Fiji)の新たな展開が見えてきた気がします!

Makiさんとの取材を通じて

今回、初めてMakiさんとお話した感想は、
本当に心から地球のことを考えて行動されてきた方なんだということです。

実はMakiさんは元々、ご出身であるネパールのエコツーリズムなどを主な活動とされてきました。

そこではネパールと世界を繋ぐ役割を目指し、コロナ拡大で海外からのツーリズムが難しくなった現在でも様々な方法でネパールの美しい自然、素晴らしい文化を広める活動を続けています。

ネパールのお話については、また別の記事でご紹介させて頂きますね!

世界のSDGs14の取り組み事例

世界にはまだまだ皆さんの知らないSDGs14の取り組みもあるかも知れません。

さいごに、SDGs14についてもっと色々な世界の取り組みについて知りたい方向けに、フィジーの具体例をご紹介していきます!

例えば、南国フィジーではサメを養子にできる制度があるのをご存知でしょうか。

サメにも色々な性格や見た目があり、名前をつけたりして自分のサメだと思うと、一層愛着がわくかも知れませんね!

また、サンゴ礁の保護についてもフィジーは先進的です。

サンゴに囲まれる島国であり、文化や生活に密接に関係しているからこそ、フィジー人たちのサンゴ礁保護の取り組みには力が入れています。

美しかったはずのフィジーの海のサンゴに、白化現象が起こっていることはご存知でしょうか。

これからもSDGs14、そして他の目標についても世界の事例をご紹介させて頂きます!

最後までご覧いただいき、ありがとうございました。

参考:https://www.biomass-resin.com/product/

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

シェアしてSIFを応援する
目次