ジェンダー問題の解決策とは?フィジーでの取り組みについてインタビュー

 皆さん、最近話題のジェンダー問題について世の中にどのような取り組みがあるかご存知でしょうか?

今回の記事は毎日分刻みのスケジュールをこなす海外の女性起業家に、独自のツテを使って何とかインタビューさせてもらえた内容を惜しげもなく大公開します!

SIFとしても初となるインタビュー記事ですので、メンバー一同気合を入れた作品になっております。

皆さんにもぜひジェンダー問題について一緒に考えて頂きたい想いで、英語で1時間以上インタビューした内容を日本語コンテンツにしてお届けしたいと思います!

SDGsの中でも目標8 ジェンダー平等を実現しよう については日本が他国に対して遅れをとっている項目の一つです。

海外でのジェンダー問題の現状とその解決策を知ることで、今後の日本のSDGs 目標8の達成に向けて何が出来るか一緒に考えてみてはいかがでしょうか。

SIFではフィジーがSDGsへの取り組みを初めてレポートにまとめたVoluntary National Review(VNR)をもとに、SDGs|目標5|ジェンダー平等を実現しように向けたフィジーの取組みについてご紹介しました。

今回はSIFが独自に行ったインタビューを通じて、フィジーにおける強い女性像、そしてコロナ禍でジェンダー問題がどのように変化しているのかを知って頂けます。

今回のインタビューは、太平洋と南アジアの国で女性の活躍を支援するパシイワ(The Pan Pacific and Southeast Asia Women’s Association:PPSEAWA)という協会の理事としてジェンダー問題解決に向け活躍するTitilia(ティティリア)さんです。

Titiliaさんは強い女性・母親の力を信じ、これまで女性の自立支援を中心に活動してきました。

そのバイタリティとフットワークの軽さでTitiliaさんのジェンダー問題への活動の幅はフィジーにとどまらずグローバルに展開しています。

それではさっそく女性の自立支援に力を入れるTitiliaさんへのインタビューの内容をお届けします!インタビューするのは我々SIFの代表、川上です!

真ん中:Titiliaさん/右:SIF代表(川上)/左:代表の奥さん

目次

ジェンダー問題に取り組むフィジーのTitiliaさんとは

ジェンダー問題に取り組むTitiliaさんの生い立ち

  • ナディー(Nadi)で育ったフィジー人
  • 1967年にスバ(Suva)で生まれ母親はラウン島(Lawn)出身、父はカンタブ島(Kadavu)出身
  • 1961年に父親が厚生省での勤めを始めたタイミングでNadiへ移住
  • 前夫との間に娘を授かりその後夫が急逝。現在は再婚
  • 1996年にNadiに60年以上続く最大規模のフェスティバル協会に加わり、その後も理事長を務める
  • 2013年からPPSEAWAのメンバーとして活動

ジェンダー問題への取り組み例

ーー(川上)まずはPPSEAWAでのジェンダー問題に向けた活動内容について教えてください。

PPSEAWAの活動の中で、シーソルト作りを生業とするある村の女性たちとのプロジェクトの活動に加わりました。

彼女たちはシーソルト作りをしていましたが、ひどい自然災害によりそれを続けることは難しくなりました。

私は台湾に行ってサポートを要請したり、カナダからも援助を受け何とか彼女たちの作業場を再建することが出来ました。

また私たちは彼女たちに別の生計の立て方も教えました。

店に行って食べる物を買うのではなく、自分たちで家の周りに食べる物を育て家族で分け与える仕組み作りを一から教え手伝いました。

私はジェンダー問題に取り組むこの活動にPPSEAWAに在籍したほとんどの時間を使ってきました。

ジェンダー問題取り組みの原動力

ジェンダー問題と女性の現状

ーー(川上)ありがとうございます。今でもビジネスやチャリティーなどたくさんの活動をされていまが、Titiliaさんがここまでジェンダー問題に取り組む原動力は何なのでしょうか。

私は娘を一人授かった後、離婚を経験しています。

シングルマザーの大変さは知っていたつもりですが、働きながらも彼女には良い教育を受けさせてあげたいと思いました。

私は働きながら娘に勉強も教え、娘は高校を卒業したのち、技術専門学校にも行きました。

私は女性たちの苦しみをよく分かっているつもりです。

女性は逞しく生きるべきであり、強くあるべきです。

私は働きながら娘を育てながらそのことも教えてきました。

フィジーには多くのシングルマザーがいますが、私は彼女たちの助けになりたいと思っています。

それが私の人生の一部であり、私の生き方でもあります。

ジェンダー問題とシングルマザー

ーー(川上)シングルマザーが多いとのことですが、フィジーの離婚率は高いのでしょうか。

正確には分かりませんが周りには若いシングルマザーがたくさんいます。

中には10代で妊娠し家から追い出されてしまい出産する場所すらない母親もたくさんいます。

私は彼女たちの一時的な居場所となる施設を運営する活動もしています。

ただ最近はこの施設の意味合いも昔とは変わってしまったと感じています。

昔は子供たちと外で遊び回りましたし家族との大切な時間がありました。

私たちの時代とは違い、若い子達の身の回りにはパソコンやスマートフォンが溢れかつてのような家族との時間は失われ子供たちを躾けることもなくなりました。

昔は悪いことをすれば親にもよく叩かれたものです。

若い頃を思い返すといつも周りには色々教えてくれる親たちがいました。

それと同じように私は自分の娘にも素晴らしい女性・母親になって欲しいと思っています。

今彼女はアメリカで5人の子供を立派に育て上げ自分でビジネスを持っています。

そしてその全ては私たちの家から始まっているのです。

家さえあれば辛い時も立ち直ることが出来ますし何も心配いりません

また教会も我々を助けてくれる大きな存在です。

教会ではたくさんの学びがあり、女性にもお互いを助け合う道を教えてくれました。

それが私のチャリティーを始めたルーツでもあります。

ーー(川上)若いシングルマザーの話がありましたが、彼女たちは離婚したのでしょうか。それとも結婚もしていないのでしょうか。

結婚もしていないケースが多いです。

周りが学校に通っている時、彼女たちは学校に行くことはありません。

私はそんな若い子をたくさん見てきました。

思いがけず妊娠してしまったことを家族に打ち明けても認めてもらえず、私たちの施設を頼ってきます。

ジェンダー問題と学校・教育

ーー(川上)学校ではそのようなこと(性教育)は教えないのでしょうか。

近年ようやく始めたところです。

昔はそのようなことを話すことはタブーとされていましたが、ジェンダー問題に向き合う中で最近はようやく公に話すことができる環境になってきました。

それでもまだまだ若いシングルマザーの数は減っていないですし、貧困がそれを助長しています。

彼女たちの多くが生きるお金が足りず売春婦をしたりして何とか工面しています。

ーー(川上)子供を授かった後シングルマザーたちのにはどんな困難があるのでしょうか。

子供が生まれれば次は当然、食事を与えたり服も買い与えなければいけませんよね。

でも母親たちは働いていませんからそのお金もありません。

通常であれば私たちの施設では彼女たちに寄付という形でお金を分け与えたり物資を与えたりします。

でも今はパンデミックで皆んながそれぞれ生き残るのに必死で、そこまで手が回らずもどかしい思いをしています。

コロナ後のジェンダー問題への取り組み

ーー(川上)そうですよね。コロナが発生してからジェンダー問題と施設の在り方をどのように考えていらっしゃいますか。

コロナの後はフェスティバルを延期しており、募金活動も以前のようにはいきません。

助けが必要な家庭を救うためにもすぐにでも再開できることを祈っています。

私たちが今できることは助けが必要な家庭に出向いて世話をしたり、子供たちに食べ物を買い与えたりすることくらいです。

ーー(川上)フィジー人のジェンダー問題について、女性が社会の中で抱える課題は他にもあるでしょうか。

パンデミックの影響でフィジー人の雇用環境は厳しい状態ですし、家庭内暴力も非常に深刻な問題です。

子供たちは少しでもお金を稼ぐために働かされていますが、皆んな生きていかなければなりません。

コロナの影響でフィジーは非常に良くない状態にあり、過去にはないほど性的問題も起こっています。

お金が無ければ夫は家庭を支えることもできませんし、そのストレスから妻への家庭内暴力に走ることにもつながります。

ジェンダー問題解決の鍵は教育

ジェンダー問題解決のため女性の教育に注力

ーー(川上)ジェンダー問題に取り組むにあたり、今後どのようなサポートが彼らに求められているのでしょうか。

政府はジェンダー問題への取り組みの一環として女性への教育に力を入れています。

しかし一口に女性と言ってもさまざまで個人差があります。

成功に向かって一生懸命働く女性もいますが、最大の敵は怠け心です。

教育や訓練を受ける機会もありますし、働いてお金を稼ぐ手段も外に出ればあります。

ところが怠け心がそれをさせません。

何かを犠牲にしてでも行動に移すかどうかは個人の選択です。

強い女性・母親になるためにはとにかく行動に移すことが必要だと私は考えています

女性の問題解決の目標

ーー(川上)Titiliaさんにとって自分自身の目標は何かありますか。

精神的にという意味でしたらまずは自分自身に正直にならなければなりません

自分に正直になることで、あなたが本当にやりたいことが出来るようになります。

私にとって誰かを信じることは簡単ではありません。

私はその人がどんな人物か心の目でしっかり見ますし、そうすると相手も私に対してそうしてくれます。

だから私は直接会って、お互いをリスペクトすることが必要だと思っています。

その上で私はやっと対話をしサポートを始めます。

目標といえば私の祖母は非常に強い女性でしたね。

私が12歳の頃、父と母が事故で6ヶ月もの間入院することになりました。

その時私は祖母に家事洗濯など家族の面倒を見ることを教わりました。

5人の兄弟がいましたが家では料理から皿洗いから、たくさんの家事をこなしながら家族の面倒を見ていました。

学校へ行くまでに家族のお昼ご飯を用意することまで全てをこなす、それが祖母に教わったことであり私の人生でした。

祖母には本当に色んなことを教えてもらい育ててもらいました。

ーー(川上)フィジーの女性が強くなったのは最近のことかと思っていましたが、昔からフィジーの女性は強かったのですね。

その通りです。

私たちの施設でも強さについても教えているつもりですが、最近は難しい環境ですね。

昔は私たちはよく話し子供が何か間違ったことをすればよく叱ったものですが今はそんなことはできません。

今は何かあればメンバーを呼びレポートを作成しますが、それは家族にとって何にもなりません。

私たちの時代は生き残るために一生懸命働くことの大切さを両親が身をもって教えてくれました。

今思えば、価値の原理を教えてもらう時間を両親がちゃんと確保してくれていたのだと思います。

ジェンダー問題解決への政府の役割

ーー(川上)ありがとうございます。Titiliaさんのジェンダー問題に取り組む活動は本当に素晴らしいものですね。一方で政府はジェンダー問題に対しどのような役割でどのようなサポートをしてくれますか。

国にはお金が十分にありません。

貧困はまだまだ残っていますし教育の質は低下していっています。

政府も様々な支援はしていますが、NGOの役割も大きいですね。

NGOは人助けをする力があると思いますが、いくら金額が大きくても募金するだけでは本当の人助けにはなっていないと思います。

もっと人に、コミュニティーに寄り添い彼らの現実の声を聞くべきだと私は思います。

例えば、今村には電力不足の問題があります。

以前は政府が主電源から施設や学校への電力をひいていました。

でも今は全部自分たちでやるように方針が変わってしまい、非常に大きな負担になっています。

子供達が勉強するための安定的な電力供給を確保する必要があります。

あとは洪水被害の問題もあります。

洪水被害がありながらもこの村の人々には資金もなく移住することができません。

また違うケースでは、病院に入っていた女性たちが村に戻ってきたことがありましたが、彼女たちにはサポートが必要でした。

村には彼女たちのための十分な設備がなく、車椅子も十分になかったので家にいるしかありませんでした。

私はアメリカから椅子を調達し村に配りましたが、NGOは資金援助はしてくれましたがそこまで考えが及びませんでした。

私たちは彼女たちと向き合い会話し、何が必要かを考えます。

今は彼女たちにスイカの種を与え、彼女たちが育てお金を稼ぐ方法を教えているのです。

ーー(川上)本当にさまざまな活躍をされていますね。ではこのCovid-19のパンデミック下で次にTitiliaさんがジェンダー問題解決に向けてやるべきことは何でしょうか。

まずは命を確保することが大切です。

次に子供により良い教育を受ける機会を提供しなければなりません。

教育はそれぞれの家庭の将来の平和に帰結していく貴重なものです。

もし今私に十分な資金があれば教育、そして食事でも住居でも彼らの生活を保障するものを用意してあげたいです。

ーー(川上)なるほど、まずは命を確保した上で将来に向けた教育ですね。ジェンダー問題に対して政策面では他にどんな支援が考えられるでしょうか。

まずは女性の健康確保と自立支援です。

女性が健康でなければ家庭が成り立ちませんが、彼女たちは家族を支え自分自身が病で命を落としています。

そして自立支援にも目を向けるべきです

彼女たちに自分でビジネスをしていく力を与え、資金面でもサポートする必要がります。

女性たちが新たな人生をスタートするために私は残りの資金やエネルギーを全て使っても良いと思っています。

ジェンダー問題解決に向け日本の女性にメッセージ

ーー(川上)最後に日本の女性たちにジェンダー問題解決に向けメッセージを頂けないでしょうか。

そうですね、是非この村の女性たちが自分のビジネスをスタートするサポートをして欲しいです。

彼女たちを支えてくれる人がもっと必要です。

今はコミュニティーセンターの立上げプロジェクトを始めており、私たちはプロジェクト16と呼んでいます。

例えば若い妊婦や母親には居場所がありません。

私たちの目指すコミュニティーセンターにはシッターがいたり子供たちに教育を受けさせる場所を提供し、母親たちには仕事を得る機会を提供します。

またこのコミュニティーでは教育にも力を入れます。

これからの子供たちには図書館やITを勉強できるクラスも必要だと考えています。

またシニアの人々が楽しめるレクリエーション施設も作りたいですね。

世界を救うことは出来ませんが、小さなところから変化を起こしていきたいと思って日々取り組んでいます。

最後に

いかがでしたでしょうか。

ジェンダー問題の解決に向けて、女性の強さを信じ自立を支援することに人生をかけるTitliaさんの生き方には胸をうつ熱いものがあります。

また家庭を守る女性に食料を与えるのではなく食べ物の育て方を伝えるやり方は、きっと気の遠くなるようなプロセスのはずです。

テクノロジーも資金も限られる中、いつもうまくいくわけでもないでしょう。

そこに日本から我々が少しでもジェンダー問題のに対して出来ることがあるのではないかと思うので、今後SIFの中でも議論を続けていきます。

そして今後はSIFにも強力な女性の力があればさらに活動がパワーアップするかも、などと考えたりもします。

我々の想いと構想は幸福度No1の国、フィジーに、SDGsにつながるメディア。”Social Innovation Fiji Journal”とはをご覧ください。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

今後も皆さんの気づきを得るきっかけとなるようなインタビュー記事を続々更新していきます。

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