知る(SDGs, News)

SDGs12 | フェアトレードが抱える5つの問題点とは | 具体例で初心者にも分かりやすく解説

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

こんにちは、RIKUHIROです。

皆さんはフェアトレードという言葉を聞いたことがあるでしょうか。

フェアトレードとは、労働や生産される製品に見合った正当な価格で、不平等のない取引を持続的にする仕組みです。

SDGsとも関連し、とても素晴らしい取り組みとして取り上げられることが多く、生産者への影響力も次第に大きくなっています。

でも実はフェアトレードの決断が、時に生産者を苦しめることがあることをご存知でしょうか。

今日はフェアトレードについて、良いことばかりなの?問題点はないの?と疑問に思われた方に、実際にフィジーで起きた事例とともにフェアトレードの5つの問題点を解説していきます。

このSIFジャーナルでは、これまでSDGsレポートを読み込み分析してきました。特にフィジーのSDGsについてはかなり深堀してきたSIFジャーナルならではの解説をお楽しみください!

フェアトレードとは?SDGsとの関係は?を簡単に

まずはフェアトレードとは何かを簡単に解説します。

フェアトレードとは、冒頭にも触れましたが労働や生産される製品に見合った正当な価格で、不平等のない取引を持続的にする仕組みのことです。

フェアトレードの目的とは?

なんといってもフェアトレードの大きな目的は、生産者に対し公正な報酬を支払い、生産者の生活を豊かにすることです。

また適正な価格での取引を持続可能にすることにより、発展途上国の国々の生活の質を向上することを目指しています。

フェアトレードは貧困、人権、気候変動とも密接に関わっています。

その意味でフェアトレードは、以前ご紹介した、エシカル消費の一つの考え方と捉えることもできます。

エシカル消費についてもっと詳しく知りたい方は、エシカル消費が日本に広まらない7つの問題点もご覧ください!

フェアトレードとSDGsの関係

フェアトレードとSDGsは深く結びついています。本質的にはSDGsの17項目全てと関わりがありますが、関係が深いのが以下の7項目です。

特に後半部分でも触れていくのが、SDGs12 つくる責任つかう責任です。

生産者、消費者という観点での持続可能な社会を実現していく上で、両者の意識を変えていくことが必要です。

また他にも、貧困地域では特に女性の労働力が不当に低い賃金で使われている問題や、子どもたちが貧困から脱することが出来ない社会システムの温床を変えていく上でも、フェアトレードは重要な役割を果たしています。

  • 目標1(貧困をなくそう)
  • 目標2(飢餓をゼロに)
  • 目標5(ジェンダー平等を実現しよう)
  • 目標8(働きがいも経済成長も)
  • 目標10(人と国の不平等をなくそう)
  • 目標12(つくる責任つかう責任)
  • 目標13(気候変動に具体的な対策を)

フェアトレードの認証機関とは

フェアトレードにも基準があります。Fairtrade International(国際フェアトレードラベル機構)という、ドイツに本部を置く国際組織によって定められています。

日本にもその構成メンバーとして、フェアトレード ジャパンが存在します。詳しくはフェアトレードジャパン|fairtrade japan|公式サイトに記載されています。

フェアトレードプレミアムとは

あまり知られていない存在として、フェアトレードプレミアムというものがあります。

フェアトレードプレミアムとは、簡単にいうと取引価格に上乗せされる奨励金です。

この奨励金は地域の状況に合わせて、様々な用途に使われます。

例えば貧困地域の学校の整備や教育、または生産者の生産性向上やインフラ整備などのために活用されています。

フェアトレードジャパンによると、フェアトレードプレミアムは以下のように定義されています。

輸入組織により品物の代金とは別に支払われるプレミアムは、組合や地域の経済的・社会的・環境的開発のために使われる資金です。プレミアムの使途は、生産者組合によって民主的に決定されます。

フェアトレードジャパン

フェアトレードが抱える5つの問題点とは

良いことだけのように見えるフェアトレード。もちろんSDGs 12でも取り上げられ、社会的にはとても意味のある取り組みですが、ここではあえてフェアトレードの問題点を考えていきたいと思います。問題点をあげ、それを解決していくことで、フェアトレードとの上手な付き合い方を考えてみましょう。

①SDGs12に取り組む大企業のフェアトレードへの参入

近年は多くの大企業がフェアトレードに参加し、それ自体はフェアトレードの規模が膨らむ良いことのように思えます。

その理由としては、社会的にSDGsの推進が求められ、SDGs 12が特に商品を生産するメーカーにとって大きな課題と認識されるようになったことも考えられます。

ただ問題は、大企業の中にはフェアトレードを宣伝目的に使っている場合もあるということです。

フェアトレードを謳っているのに、実際に全面的に売り出しているのはその他の商品。こうなってしまうと、消費者にとってフェアトレードとは何かが曖昧になってしまいます。

また、大企業が参入することにより、フェアトレード活動をする小さな事業主のビジネスに影響することも考えられます。例えば大手のカフェチェーンとの取引をする場合、多くの生産者はフェアトレード認証がある限り、取引がずっと続くと考えてしまいます。

この大手カフェチェーンとの取引が拡大すれば、小さな生産者はビジネスをこの取引に頼り過ぎるようになります。

ただし、カフェチェーンの方に取引を継続する義務はないので、意思決定の変更によって、たちまちフェアトレードに依存する生産者はピンチに追い込まれるリスクが多分にあります。

②フェアトレードに参加できない生産者の疎外

フェアトレードがひろまると、フェアトレードに参加していない生産者が疎外されてしまう、という事実も忘れてはなりません。

フェアトレード認証を受けない生産者には、全く気にしない生産者と、受けたいのに受けられない生産者がいます。

フェアトレードに認証を受けるには、認証コストもかかります。このコストを負担できず、認証を受けられない生産者たちにとって、認証が広まることが逆風になってしまうこともあるのです。

フェアトレード認証を作ることにより、愚直にがんばる生産者の首を苦しめてしまうケースもあるのです。

③フェアトレードの定義自体が曖昧

フェアトレードという耳障りの良い単語だけが一人歩きしてしまうリスクもあります。

そもそも、国際フェアトレード認証ラベルがなくても、企業や団体が「フェアトレード」と名乗ることに問題はありません。

「フェアトレード」には、基準となる法律がないからです。

こうなると、一体何がフェアトレードなのか、が曖昧になってしまいます。「生産者とどのように基準を定めているか」が消費者にとって見えないことが、フェアトレードの消費者の不安をあおります。

購入する際は、どの部分が「フェアトレード」なのか確認する必要があるでしょう。

④フェアトレード商品は価格が高い

消費者として気になるのは、やはり価格です。

日本では特に、フェアトレード商品の価格は一般の商品に対し2倍以上するケースも珍しくありません。

その一方、欧米の国際フェアトレード認証製品の価格は、ほかの一般商品と比べても価格差はありません。

各企業は、フェアトレードを広めるには適正価格で販売することも必要だと考えているのです。

もちろん、フェアトレード商品の手間やコストを考えれば価格が高くなるのは仕方ない部分もあります。

しかし、欧米諸国がフェアトレード商品の価格を抑えられているという事実はしっかり受け止めなければなりません。

フェアトレードが消費者に広く届けていくためには、利益を確保しながら、誰にでも手の届く価格に近づけていく努力も必要になってきます。

SDGs12を推進していく上でも、フェアトレードの商品価格はより多くの消費者にとって手の届く範囲に設定することが必要だと言えます。

⑤フェアトレードは社会貢献活動という誤った認識

最後に、実は一番大切なポイントです。

フェアトレードは生産者・労働者を支援する仕組みです。

つまり、継続的に買い上げてもらうビジネスとして成立しなければなりません。そのためにはフェアトレードの生産者、労働者も良い商品を作り、マーケティング活動のレベルを高めていく必要があります。

生産者がビジネスの基本的な活動が出来なくても募金がもらえるのであれば、そもそも働く必要はありません。

フェアトレードがただの社会貢献という誤った認識を持たれたまま生産者・消費者に広まれば、本来あるべきビジネス面の切磋琢磨が失われてしまうリスクがあるのです。

砂糖の売上がゼロ!?フェアトレードの問題点とフィジーの悲劇

ここからはフィジーの実例を紹介しながら、皆さんにフェアトレードの問題点についてさらに考えて頂きたいと思います。

フィジーにとってのフェアトレードの大きな存在

フィジーの主産業の一つが農業であり、その中でも砂糖産業は輸出経済を支える大きな存在です。

砂糖産業は1882年以来、フィジー経済の礎となっており、国民の約15%が収入をサトウキビ栽培に頼っています。

この砂糖の原料でもあるサトウキビは、ほとんどが小規模な農家の生産者であり、生活の糧をサトウキビ畑に依存しています。

フェアトレードを積極的に導入したことでも有名な英国のネスレKitKatブランドは、フィジーの砂糖を買い付ける大手起業の一つでした。

ネスレKitKatとフィジーは長い間ビジネス関係を構築し、ネスレKitKatはフィジーにとっては最大規模の出荷先となりました。

ある日突然フェアトレードがなくなったら

そんなネスレはフェアトレードとの提携を長年続けてきましたが、2009年に開始したこのフェアトレードとの関係を断ち切ることを決定しました。これはネスレが、ヨーロッパの農家を支援するという使命を果たすために下した決断です。

ネスレは同時にフィジーとマラウイのフェアトレードシュガー生産者のうち、変更の影響を受けた生産者に対して、約12万5千米ドルの移行支援基金を提供しています。

この記事ではネスレを批判したい訳ではなく、フェアトレードによって引き起こされた問題にフォーカスします。

ネスレからの支援資金は一時的には大きな援助にありますが、やはり課題はその後にフェアトレードの生産者がビジネスを立て直せるかどうかです。

16,000件のフィジーの砂糖農家は、年間の砂糖売上とフェアトレード・プレミアムで約1,200万米ドル規模のマイナス影響が出ることになりました。これを補填するのは並大抵のことではありません。

フェアトレードを失ったフィジーの今後は?

フィジーの38の村の砂糖農家は、取引によって得られた990万米ドルの砂糖売上だけでなく、フェアトレード・プレミアムによる年間139万米ドルの追加収入も失うことになります。

フェアトレード・プレミアムは、これまでフィジーのコミュニティ・プロジェクトに投資されてきました。

例えば井戸、橋、道路などのコミュニティ・インフラの建設、学校の建設と修復、児童労働に対する意識を高めるプログラムなど多岐にわたります。

気候変動という農業には大き過ぎる障壁は、今もなお威力を増しフィジーの農家を苦しめています。

気候変動に強い品種を作る、再びフェアトレードとして再起を果たしていくというのも一つの手段です。

一方で、これからは農業に頼らない技術革新についても議論していく必要があるのかも知れません。

農業はフィジーの経済・社会・生活を支えてきたのは間違いありません。

ただ、今後はテクノロジーの力を使い、対抗力を高めていくことがフィジーの豊かさを守っていく事につながる手段として考えられます。

さいごに

いかがでしたでしょうか。

少しネガティブなことばかりお話してしまいましたが、フェアトレード自体は持続的な社会に向けた非常に有効な取り組みであることは再度強調させてください。

特にSDGs12をグローバル視点で推進していくには、フェアトレードの取り組みは欠かすことが出来ません。

その上で、「どのようにフェアトレードを広めていくのか」をしっかりと考えなければなりません。

ご紹介したフィジーの農業についても、我々SIFで今後何を一緒にできるのか考えていきたいと思います。

良いアイデアがひらめいた方、何か行動したいと思って頂いた方はぜひご連絡お待ちしております!

我々SIFの想いはこちらをご覧ください。

幸福度No1の国、フィジーに、SDGsにつながるメディア。”Social Innovation Fiji Journal”とは

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

参考:

https://www.fairtrade-jp.org/about_fairtrade/intl_standard.php

https://sustainabledevelopment.un.org/content/documents/25011Fiji_VNR_2019_final.pdf

SNSフォローもお願いします!

行動したくなった方はご連絡お待ちしています!

    コメントを残す

    *

    %d人のブロガーが「いいね」をつけました。