SIFは日本企業のフィジー進出を、現地でのアテンドをはじめ様々な形で支援する企業です。私は2022年頃からSIFの日本側メンバーとしてWebやマーケティングを中心に関わっていました。しかし今回、私はそのSIFメンバーという立場と同時に、いち個人事業主としてフィジーに渡航しました。
個人事業主として、新ブランド「和フィジー」を立ち上げるためにアテンドを受ける側、という立場です。和フィジーはタパ柄を活かした和室向けインテリア雑貨の輸入ECとなる見込みで、今回は試作品の作成を目的として渡航することにしました。
そのためにSIFのアテンドを今回は自分自身が受けてみて、フィジーという土地での実体験を、同じように個人で事業を営む方、これから新しい挑戦を考えている経営者の方の参考になればと思い、レポートします!
後半は通常のSIFメンバーとして、視察にいらした一般社団法人中小企業戦略研究所の中村暉梨さん(ひかりさん)のアテンド業務にも携わりましたので、合わせてご紹介します。
私自身、2020年に半年間フィジーに留学した経験があり、今回は6年ぶりの再訪。当時の記憶と重ねながらの旅となりました。
離陸前から醸されるフィジー感
6月20日、成田を発つFIJI AIRWAYSの機内。実はSIF代表のAkiさんと同じフライトに乗っていて、「搭乗口で会いましょう」と約束していたのですが、結局会えないまま。9年フィジーに住んでフィジーナイズドされたAkiさんの動きにより、到着前からフィジー風味が醸し出され、思わず笑ってしまいました。
現地時間早朝に到着し、入国前にAkiさんと無事合流。気温19度、フィジーにしては肌寒い空気の中でインターンハウスへ向かいました。SIFでは大学生インターンがフィジーに滞在し、スキルを磨くと同時に実務を支えています。
フィジーはクリスチャンの多い土地柄、日曜日はほとんどの店が閉まっています。今日は急いで行くような場所もないので、ベランダで久しぶりにスケッチをしたり、タプーシティでローカルフード「Rourou lumb」を頬張ったりと、フィジー時間にゆっくりと身体を馴染ませていきました。

新ブランド「和フィジー」始動。初対面の職人さんに、すべてを託すという経験
個人事業主として一人でブランドを立ち上げる中で、最初の壁になるのが「現地のパートナーをどう見つけ、どう信頼関係を築くか」だと思います。今回それを強く実感したのが、職人のリサ(Lisa)さんとの出会いでした。
2日目、SIFのアテンドで低所得者支援施設「コロイピタ」を訪れ、長年縫製や工芸品づくりを手がけてきたリサさんのお宅へ。この日が初対面です。和フィジーのブランド構想と、作ってほしいものについて、簡単な口頭説明と写真、サイズ感が分かる日本からの既製品サンプルだけを手渡し、その場で一緒に布屋へ。選んだ布をリサさんに託し、「完成したらまた取りに来ます」と約束してその日は別れました。
リサさんは過去にSIFからバッグ制作の依頼を受けていた人物であり、街のテイラーさんよりも品質が良いという情報をAkiさんから受けていました。とはいえ初対面で、言葉も完全には通じない中、サンプル一つと口頭の説明だけを渡して任せるというのは、どんな仕上がりになるのか不安もありました。正直なところ、1回で試作品ができずに帰国後も2-3回試作と修正のやりとりが続くのではと予想していました。しかし数日後、再びコロイピタを訪ねると、そこには想像以上に完璧な仕立ての試作品が。たったあれだけの説明と材料で、ここまで形にしてくれるのか、と長年の経験に裏打ちされた手仕事の確かさに、心から驚かされた瞬間でした。リサさんが昔作ったというヤシの葉のうちわの写真も見せてもらい、その手先の器用さと工芸への愛情、そして感性に、和フィジーが目指したいものづくりの姿を重ねて見ていました。
個人事業主が一人で海外に拠点を持たずに製造パートナーを見つける際、「初対面でどこまで託せるか」という判断は常に悩ましいものだと思います。今回は、SIFがこれまで築いてきた現地ネットワークの中でリサさんをご紹介いただけたからこそ、その不安を最小限にして一歩を踏み出せたのだと思います。
合わせて、その日の午後には現地のテイラー「ロージーテイラー」にもブラシャツ(アロハシャツのような、フィジーの伝統柄を使ったシャツ)を発注。布選びから仕立て依頼までの一連の流れを自分自身で経験できたことも、今後の和フィジーの商品開発に向けた大きな収穫です。



ボートチャーターで6年越しの海へ
留学時代、クラスメイトとボートキャプテンを探し、釣りに出たことが、今でも忘れられない思い出として残っています。今回、その記憶を頼りに、再びボートをチャーターしての釣りに挑戦しました。
フィジーでは多くの人が漁業に携わっており、交渉すると自身が漁に出るのではなく、1日いくらというかたちで釣り人を乗せてくれます。
漁港でキャプテンを探して歩き回っていると、声をかけられ「それならあそこにあるオフィスに行け」と言われ、オフィスにいた人にも「あの赤いシャツの人に話しかけろ」と言われ……と、なんとも懐かしいフィジー流のコミュニケーションをしながら、最終的にFilipeさんという漁港に勤める女性に翌日の船を約束してもらうことに成功しました。「Fiji timeじゃないからね」と3回も念を押されたものの、結局当日は少し遅れてのスタート。このゆるさも込みで、ああ、フィジーだなと思わず笑顔になりました。
今回釣りは3人で行きました。私は釣竿を使った釣り、ほか2人は釣竿を使わないローカル方式の釣りです。Akiさんも釣りに参加したもののなかなか釣れず、「すぐに食いつくから魚の方が向いてる」とぼやいていたところ、見かねたキャプテンが色々と世話を焼いてくれ、最終的にバケツいっぱいの魚を釣り上げることができました。その日の夕食はもちろん刺身。新鮮な魚の旨味に、一緒にいたメンバー全員が舌鼓を打ちました。
今後の釣りツアー構想について
なお、フィジーには「4FJ」というアプリがあり、魚の種類や漁獲制限を知ることができます。単なる図鑑ではなく、持続可能な漁業のために法的に漁獲が禁止されたサイズやリリース推奨サイズが掲載されており、保全への取り組み意識が感じられました。
後半は、SIFメンバーとしてアテンドする側へ
6月24日からは立場が逆転し、今度はSIFメンバーとして、一般社団法人中小企業戦略研究所の中村ひかりさんの視察アテンドに携わりました。デナラウでのホテルヒアリング、若者・スポーツ省(Ministry of Youth and Sports)やCo-Operationオフィスへの訪問、コロイピタやゴミ山(Vunato)の視察、Vitogo District Schoolでの教育現場視察など、3日間にわたり盛りだくさんの内容でした。
アテンドの詳細については、別記事「【視察レポート】日本の中小企業とフィジー双方の未来と可能性」で詳しくご紹介しますので、ぜひそちらも合わせてご覧ください(※準備中、7月中公開予定)。
そしてこの期間中、再びリサさんのもとを訪ね、布から仕上がったテスト商品を無事に回収。その完璧な仕上がりを目にしたひかりさんから、その場でブラシャツのご発注をいただくという嬉しい出来事もありました。アテンドされる側として始まった出会いが、アテンドする側の仕事の中でも形になっていく。その両方の立場を同じ旅の中で経験できたのは、SIFメンバーである自分にとっても貴重な機会でした。




今後のスーパーローカルツアー構想について
和フィジー立ち上げ業務とアテンド業務の渡航ではありますが、実は今回の渡航では、私の趣味と仕事(イラスト)を兼ねた釣りと野鳥観察も盛り込んだ活動も盛り込んでいました。
これらは社会問題というよりも環境問題と繋がっており、また同時にSIFのアテンド力を活かすことができる事業でもあると考えています。SIFではビジネス視察だけでなく、こういった活動のスーパーローカル体験を含むツアーや、アカデミックな活動を行う方のためのアテンドプログラムを構想しています。
① 小型ボートをチャーターしてのスーパーローカル釣りツアー
既存の高額なトローリング船ではなく、今回の記事のような小型ボートをチャーターした釣りツアーです。現地のスタイルの釣りも体験可能です。現地スタイルの釣り道具はSIF側でご用意。竿を使った釣りをしたい方はご持参いただくかたちとなります。



② ゆるバードウォッチングツアー
フィジーは絶海の孤島ともいえるような地理的特徴を持ち(厳密には孤島ではなく群島ですが)、多くの固有種が知られています。そのうちのいくつかは街中や町からごく近い郊外でも観察できます。外来種であっても日本では見ることができない種類がほとんどです。




③アカデミック対応アテンド
このように自然豊かなフィジーは、自然科学系研究の豊かなフィールドでもあるでしょう。しかし、ここで問題となるのがフィールド開拓や宿泊地の確保、情報収集です。SIFでは長年築いた現地との信頼関係により、それらをサポート可能と考えています。
このように、これからフィジーを訪れる方にも味わってもらえるようなコンテンツを、今後形にしていきたいと考えています。
アテンドされる側に立って、改めて分かったこと
私は長く日本側のメンバーとして動いており、現地での活動を見るのは今回が初めてでした。話には聞いていたものの深くは知らなかった現地の臨機応変な対応や、現地省庁・学校との関係の深さ・信頼関係を、その場の空気感から肌で感じ取ることができました。ゴミ山でも、以前からSIFが関わっていたプロジェクトが徐々に形になっていることが見て取れるなど、実際に現地でしかわからないことが多々あり、自分自身のプロジェクト以外にも大きな収穫がある渡航でした。
また、わずか20歳ほどの大学生インターンが英語で現地企業と交渉を行ったり、求職者にヒアリングやアプリの説明を行ったりしていること、休学してこのような大きなチャレンジをしていることにも、改めて驚かされました。
今回、SIFという現地ネットワークと伴走支援があったからこそ、初対面のリサさんに安心して任せることができ、わずか数日で試作品という形に行き着くことができました。これは、私が普段SIFメンバーとして他の企業の皆様にお伝えしている価値を、自分自身が当事者として体感できた機会でもありました。
2020年、右も左も分からないところからスタートして半年間過ごしたこの国で、6年経った今、和フィジーという新しい挑戦の種をまき、SIFのアテンドという仕組みを自分自身の事業を通して深く理解する。どこが欠けてもう生まれなかった景色だと思います。
これから海外で新しいビジネスを立ち上げたいと考えている個人事業主・経営者の方にとって、こうした「現地の伴走者」をどう見つけるかという視点が、何か参考になれば嬉しく思います。
和フィジーはまだ始まったばかりです。次にフィジーを訪れるときには、リサさんとつくった商品が、日本の誰かの暮らしの中に届いていることを願いながら、これからの歩みも、SIFのこの場所で報告していきたいと思います。



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フィジーは日本で一般的な「採用アプリ」「e-ラーニングシステム」がない、「肥料」の概念を知らない人も多いなど、中小企業が当たり前に持つ技術で十分に戦えるフィールドであり、ビジネスチャンスと同時に現地の課題への貢献にもなります。
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