南太平洋の美しい島国フィジー。その第二の都市であるラウトカ市と、私たち「Social Innovation Fiji(SIF)」が提携を結んでから、今年で3年が経ちました。
去る2026年2月9日、ラウトカ市議会(Lautoka City Council, LCC)にて、これまでの強固な協力関係を記念する特別レセプションが開催されました。代表の川上晃史をはじめとするSIFメンバーが出席し、市議会の皆様からこれまでの多大な貢献に対して、心からの敬意と感謝の言葉をいただきました。
この素晴らしい節目を迎えられたのは、市議会の職員の皆様はもちろん、現地の住民の皆様や、日本から温かい支援をくださる皆様のおかげです。今回は、これまでの歩みと、これからのフィジー全土を巻き込む新しい挑戦をご紹介します。
「Arigato Earth Project」とは?
フィジーでは近年、経済の発展や生活の変化に伴い、ゴミの処分問題が深刻になっています。
特に使い捨てのペットボトルや缶の散乱は、美しい自然を脅かすだけでなく、限られたゴミの埋め立て地を圧迫する原因になっていました。この課題を解決するために立ち上げられたのが、「Arigato Earth Project」です。
ラジオ体操をヒントにした「ゴミがお金になる」仕組み
本プロジェクトのヒントとなったのは、日本の「ラジオ体操のスタンプカード」です。フィジーの文化に馴染むアナログな方法を取り入れることで、新しいリサイクルの仕組みを実現しました。
具体的には、住民の皆様がリサイクル可能なボトルや缶を回収場所へ持参すると、その数に応じて報酬(お金)が受け取れる「リワード制(返金・ご褒美制度)」を導入しました。「ゴミをきちんと分ければお小遣いになる」という分かりやすいメリットがあることで、住民の意識は大きく変化。それまでポイ捨てされがちだったボトルが、大切な資源へと生まれ変わるきっかけとなりました。
3年間で7万2,000個を回収!街をきれいにする文化の醸成
この取り組みにより、ラウトカ市内だけでも3年間で7万2,000個以上のリサイクル品が集まりました。
街の景観が美しくなっただけでなく、地域の一人ひとりが「環境活動に楽しく、気軽に参画できる」という成功体験を得られたことは、コミュニティにとって非常に大きな財産となりました。
プロジェクトが残した足跡:国内のリサイクル体制構築を後押し
ラウトカ市での「Arigato Earth Project」としての活動は一度区切りを迎えましたが、私たちが残した成果は、フィジー全土の環境対策を前進させる大きな一歩となっています。
フィジー国内では、もともと限られた飲料メーカーの協力によって進められていた別のリサイクルプログラムが存在していました。そこに、SIFがラウトカ市で実証した資源回収の仕組みや実績が好事例として加わったことで、現在の体制へと大きく発展。今や地元の主要な飲料メーカー8社(全ブランド)が協賛する、全国的なプログラムへと拡大する形となりました。
年間620万本の回収見込み、国家レベルの議論へ
現在、この取り組みは首都のスバをはじめ、観光地として有名なナンディやシガトカ、首都圏に近いラミやナウソリといった主要都市へと広がっています。
現在の回収ペースが維持されれば、年間で620万本以上のボトルや缶が回収される見込みです。これにより、埋め立て地に運ばれるゴミが劇的に削減されるだけでなく、寄付や外国の支援に頼らない、フィジー独自の「持続可能な廃棄物管理」に関する国家レベルの議論に大きく貢献しています。
ラウトカ市議会(LCC)から寄せられた評価
レセプションの最後、ラウトカ市議会(LCC)の皆様からは、これまでの軌跡を振り返り、次のような温かい言葉をいただきました。
「Aki(代表の川上)をはじめとするSIFチーム、日本のスポンサー、 パートナー企業の皆さん、本当にありがとう(Vinaka Vakalevu)。 SIFがラウトカ市で確かな実績を作ってくれたことが、国内の飲料メーカーを巻き込んだ大規模なリサイクル体制へとつながる、重要な足がかりとなりました」
この言葉は、私たちにとって何よりの宝物であり、これからの活動の大きな原動力となっています。
次なるステージ:家庭用コンポストによる生ゴミ削減への挑戦
ボトルや缶のリサイクルが現地で自走し始めたことを受け、私たちは次なるステージとして、家庭での「コンポスト(生ゴミを豊かな土に変える仕組み)」の普及を始動しました。
現在、フィジーのゴミ全体の60%以上を生ゴミなどの「自然に還るゴミ」が占めています。水分を多く含む生ゴミは、そのまま埋め立てると悪臭や地球温暖化を進めるガスの原因になるため、この生ゴミ問題を解決することこそが、本当の環境保全への切り札なのです。
モデル集落「コロイピタコミュニティ」からのスタート
私たちは、家庭の生ゴミを微生物の力で分解し、植物の栄養となる土に変える「家庭用コンポスト」を広める活動を始めました。
この挑戦は、すでにゴミの分別や「ゴミを燃やさない」取り組みを実践している、Koroipita Model Town(コロイピタ・モデルタウン)からスタートしました。ラウトカ市近郊に位置し、慈善団体Model Towns Charitable Trustが運営するモデル集落で、すでにごみの分別や「ごみを燃やさない」取り組みが住民の間に根づいています。ここでまずは確かな運用の形を作り上げ、将来的には他の地域へ広げていくことで、島全体で資源が循環する社会を目指します。
フィジーの課題解決を通じ、日本で活躍する次世代の人材を育てる「SIF Academy」
私たちSocial Innovation Fiji(SIF)は、ただゴミを減らすだけでなく、フィジーが抱える社会課題の解決に貢献しながら、将来日本を舞台に活躍する次世代の人材を輩出する「SIF Academy」を運営しています。
Academyでは、日本の若者たちが現地の社会課題の本質を学び、社会を良くするためのアイデアを自分たちの手で実践する力を養っています。今回のプロジェクトも、参加者の若者たちの熱意や地域社会との対話から多くのヒントを得て発展してきました。
私たちはこれからも、ラウトカ市の仲間たち、そして日本の皆様と共に、一歩ずつ、よりクリーンで持続可能な未来を創り上げていきます。SIF Academyの活動と私たちの新たな挑戦に、ぜひこれからも温かい応援をお願いいたします!

