貧困の課題の難しいところは、貧困でない人からは非常に見えづらい点かも知れません。美しいリゾート地として有名なフィジーですが、国全体ではどれ程裕福な国なのでしょうか。
まずはフィジーの取り組みと実態を皆さんにお伝えしたいので、フィジーが発行するレポート、Voluntary National Review(VNR)のSDGs1のパートを見てみましょう。そもそもVNRとは何か、についてはまた記載しますのでこちらもご覧ください!
数字から見るSDGs1: 貧困の実態
フィジーは2036年までに国の貧困発生率を10%まで引き下げ、最も貧しい国民たちの生活ラインを引き上げることが国の発展に向けた最重要項目と考えています。
貧困レベルの低下については近年大きな進歩があり、誰も取り残さない、平等な社会を形成しつつあります。
この進歩はフィジーの中長期的な開発計画 -5-Year & 20-Year National Development Plans(NDP) の中でも大きく取り上げられています。
近年のフィジーにおける貧困率は一定の減少を見せており、2002年から2003年には35%、2013-2014年には28.1%と推移しています。
生活水準と所得の平等性の改善、更なる貧困率の減少により、2019-2020年の所得に大きく影響してくるでしょう。
このモメンタムが数年に渡って続き、経済成長と共に多くの仕事がつくられてきたことを多くの社会的指標が示しています。
性別による労働参加率-Voluntary National Review(VNR)
VOLUNTARY NATIONAL REVIEW
貧困問題解決への取組み
貧困と経済: 非雇用者の関係
フィジー経済が今の様に過去最も継続して成長する時代に突入することが出来たのは、素晴らしい機会と場をフィジー人に提供するために政府主導で行われてきたインフラ投資、情報コミュニケーションテクノロジー、サービス分野、現代経済の融合、法と教育の再建が成されてきたからこそです。
この持続的な経済の進歩は特に女性や若い世代の新しい職種をつくり、起業を促し、技術や職業訓練の流れをつくっており、雇用創出はこの進歩の要となってきました。
結果的に、非雇用者率は2007年の8.6%から2017年に4.5%まで減少し過去20年で最も低い水準を達成しています。
政府は小規模・中規模事業者に対し数百億円規模の援助を広く厚く行っており、更には既存ビジネスの発展や新規ビジネスの芽を育ててきたコンサルティングサービス、インフラ等に対しても積極的なサポートをしています。
貧困と法整備
フィジーはまた低所得層の負担軽減に向けての税制整備も行なっています。
税控除のボーダーラインは$8,000 (約86万円)から2006年には$30,000 (約324万円)に変更され、付加価値税は15%から9%に引き下げられました。
また過去初めてとなる最低賃金制度を導入し、非技術者セクターのそれは$2.32/h (250.5円)から$2.68/h (289.4円)へと増加することに成功しています。
社会保障プログラムの対象範囲-Voluntary National Review(VNR)
VOLUNTARY NATIONAL REVIEW
貧困と社会的保護
低所得者や障害者、特に気候変動や海抜上昇など様々な環境問題に影響を受けた人々を対象に、広範な社会保障プログラムを導入しています。
例えば下位10%の低所得層を救うスキームや社会年金制度、健康保険制度、食料援助、高齢者や障害者向けの移動支援など、2014-2015年の$32.4 million (34.9億円)から2018-2019年には$96.4 million (104.1億円)にまで予算を拡大しています。
都市と郊外の貧困率-Voluntary National Review(VNR)
VOLUNTARY NATIONAL REVIEW
SDGs1と貧困のない未来に向けた取組み
貧困と子どもの教育
国の発展と富の分配が全ての人に行き渡るために重要なことは、より良い健康と教育に関わるサービスを誰でも手が届き手に入れられるようにすることです。
初期教育無償化、通学に関わる費用無償化、教材費用無償化の導入により、フィジーにおける教育の質はこの数年で格段に改良されています。
全ての学生が政府による補助金や学生ローンを利用することができるようなスキームも整備し、そのためにフィジーはGDPの6%以上もの投資を実現しています。
これは多くの先進国と同じかそれ以上の水準と言えます。
SDGs1を達成していくためには、雇用を創出し起業を促し技術や専門教育を育てる発展を目指さなければなりません。
フィジーの国の発展は二つ、もしくは複数の国際的な財政機関に支えられています。
貧困問題解決に向け今後取組むべきこと
国の設備財政だけではなく、全てのフィジー人が基本的なサービスにアクセスできる様になるために、フィジー政府は今後も継続的に革新的な様々な資金解決をしていく必要があります。
特にフィジーにおける自然災害からの脅威を考えると、パートナーからの譲許的融資を得ることは非常に重要であると言えます。
貧困の解決は17あるSDGsの目標全てに横断して関連する項目だと考えています。
このように考えると、フィジーが包括的に取組んでいる貧困撲滅に向けては経済成長と雇用創出、社会保障範囲改善、また戦略的インフラ投資による健康、教育、清潔な水、衛生環境、電気、住居へのアクセスを大切な国民を支援する環境づくりに役立っていると言えます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
多くの新興国にとって貧困率の改善は真っ先に取り組むべき課題であり、全ての活動に横断的な項目です。
非雇用者率は改善傾向にあり、フィジーではこの取り組みが比較的うまく機能してきた様です。
一方で、フィジー人が大切にする幸福論とはどのような関係があるのでしょうか。
今回はVNRからの要約になりますが、皆さんにとって更にフィジーを知り、考えるきっかけとなって頂けたら嬉しいです。
次回はSIFメンバーの視点でフィジーのSDGs1への取り組みを考えていきたいと思います!