初めまして、フィジーの社会問題に取り組むSIF運営局のAyumiです。
今回はSDGs目標3の具体的な例について詳しく知りたい方向けに、私たちが住んでいる日本と、我々SIFが活動の軸としているフィジーという国を関連付けて紹介させていただきます。
是非ご覧ください!
この記事では日本のSDGs3を参考にしながら、フィジーが発行するレポート、Voluntary National Review(VNR)のSDGs3のパートを見てみましょう。
あまり普段馴染みのない、フィジーの取り組みと実態を皆さんにお伝えしたいと思います!
フィジーは世界では発展途上国に位置づけられます。
発展途上国と聞くと、多くのメディアで取り上げられる写真の中に映った痩せ細った子供たち、
明らかに栄養不足でまともな食事が摂れてない、そんな子供達を見たことはありませんか?
でも、何となく遠い海外の国だから、私達には何も出来ないから、そう考えてる方はいらっしゃいませんか?
現地の方々にどんな事で貢献出来るかをかんがえるのも重要ですが、先ずは現地の状況を知ることだけでもいいのです。
それを前提としてこの記事を見ていただけると嬉しいです。
フィジーにおけるSDGs目標3の取り組み事例ーヘルスケアの課題と対策
世界でも注目される健康問題への取り組み
発展途上国では、出産時の母体と新生児の死亡率及び成人の死亡率の削減をSDGs目標3の項目に掲げています。
未だに先進国と発展途上国での貧富の差は縮まらず、医療も含め様々な物や事で格差が大きな関りをもたらしています。
その中でもとても深刻な問題として挙げられるのがSDGs項目3の健康問題。
今回は誰もが気にしているSDGs3に関わる健康問題についてお話していきます。
皆さんは、私達が気遣う健康問題と途上国で改善されるべき健康問題は全く次元の違う世界であることを意識したことはありますか?
一方では助けられている命、一方では失われる尊い命。
今回は少し重たくなってしまうかもしれませんが、私達も、具体例を見ていきながら、もう一度健康問題に目を向けてみましょう。
日本におけるSDGs目標3の取り組み事例 | 日本の母子健康状態
まずはフィジーと比較するために、日本のSDGs目標3の取り組み事例を見てみましょう。
日本の現状はどうなのか?
具体的な数値を用いて皆さんと見ていきたいと思います。
日本の妊産婦死亡率に見る、国によるSDGs目標3の取り組みの違い
1995年に、日本の*妊産婦死亡率は10万につき6.9%と低い数値を出し、2009年には4.8%まで低下させることに成功しました。
後ほど出てきますが、日本では16年前既に解決されつつある問題がフィジーでは今も尚課題として残っています。
では、次は新生児及び乳児の死亡率を一緒に見てみましょう。
新生児及び5歳未満の乳児死亡率
- 新生児死亡率は2009年には1000人に対し1.2%
- 乳児死亡率は同年1000人に対し2.4%
新生児の死亡要因としては、*先天奇形、変形及び染色体異常、周産期に特異的な呼吸障害及び心血管障害、乳幼児突然死症候群です。
5歳未満の乳児の死亡要因としては、大多数が不慮の事故で、その他先天奇形、変形及び
染色体異常、悪性新生物等が挙げられます。
それでも日本では手厚いヘルスケアサポートや定期健診等があることによってこれまで多くの命を救ってきました。
例えば、出生児から20歳までの予防接種スケジュール、乳幼児健康診査(1歳6ヵ月児健診、3歳児健診)、妊婦健康診査が手厚いサポート体制として挙げられます。
死亡要因を見ればわかるように、フィジーが抱える問題と日本が抱える問題は根本から違うことがわかりますよね。
数値を見ても日本の何倍、何十倍にもなっています。
*先天奇形:出生前の段階で生じる身体的な異常の事。
*妊産婦死亡率:妊娠中または分娩後42日以内の母体の死亡の事。
フィジーにおける母子死亡率
皆さんは、発展途上国においての出産はとてもリスクのある事、死を伴う事という認識が国民にあるのはご存じですか?
日本でももちろんそのリスクがゼロであるわけではありません。
しかし、途上国でのその割合は皆さんの想像をはるかに上回るような数値です。
先ずはこちらをご覧ください。
- 2012年、フィジー新生児の死亡率は1000人につき15.9%。2017には、1000人につき16.4%まで増加。
- 2012年、5歳未満の幼児死亡率は1000人につき21%。2017年には、1000人につき20.8%。
ご覧の通り、数値を見れば深刻な状況だということがわかります。
- 2012年、母親の死亡率は10万人につき59.47%。2017年には10万人につき35.6%。
減少はしていますが、依然として高い割合を占めています。
いかがでしょうか、どれだけ深刻な事か伝わりましたでしょうか?
このような結果になってしまうのには様々な原因が確認されています。
例えば、
- ヘルスケアサービス/サポートの薄さ
- 資金問題
- 貧困問題
- 栄養不足
- 医療機関の体制
以上が問題点として挙げられます。
これに対しMoHMS(保健省ヘルス・メディカルサービス)は、
- 貧困者の為の訪問サービス
- 多数のヘルスサービスを全ての患者に無料で提供
- 医療機関間の連携強化
- 母子保健の強化
- システムの運営見直し
以上の対策を行い現在も改善中です。
フィジーにおけるSDGs目標3の取り組み事例ー疾患病の深刻化対策
フィジー疾患病の深刻化
フィジーでは、母子のみならず成人の疾患病による死亡率も深刻化しています。
疾患病には心血管、ガン、糖尿病、呼吸器疾患、リウマチ性心疾患等が含まれます。
その他、伝染病からも大きな影響を受け肺炎やレプトスピラ病は、フィジーで最大の死亡数を占めています。
そこで、対策として政府は透析治療を投入しています。
糖尿病などの増加により需要が更に増したので、主要都市の病院に設置される透析センターに透析マシンを投資するなどを行ってきました。
もう一つはHIV感染です。
2018年末に、HIVの実例の合計は927件と報告されました。
2016年のUNAIDSのフィジー国スナップショット報告で、わずか259人のみが抗レトロウイルス療法(ART)治療を受けていることが明らかになりました。
幸福度No.1の国の心のヘルスケアとは?
ヘルスケアと言うと、どうしても身体の健康にばかり注目されがちですが、実は多くの方が心のケアをも必要としています。
2012~2017年の間のフィジーにおける自殺率は平均67人という結果が出ています。
もちろん、どの国においても避けられない問題ではありますが、主観的幸福度No1と謳われている国でも年間平均67人という結果でした。
自殺の主な原因には、家庭争論や人間関係等が含まれています。
そこで、MoHMSは世界保健機構(WHO)と協力し、自殺防止やメンタルヘルスに注目が集まるように取り組んだり、メンタルヘルス問題を学校ベースで支持するよう働きかけています。
まとめ
総合的に見てみるとやはり途上国であるフィジーと新興国である日本では抱える問題は正反対です。
技術的、経済的ヘルスケアの支援を必要としているフィジー、心のヘルスケアの支援を必要としている日本。
これを見て皆さんは、どう思いますか?
日本という国だけに閉じこもるのではなく、世界を見てみたときに国と国の連携協定/協力により改善される問題が多くあります。
そこで私達SIFはフィジーにフォーカスしつつ、両国の架け橋になれるように活動をしています。興味のある方は是非ご連絡をお待ちしております!
長くなってしまいましたが最後までご閲覧ありがとうございました!